心理学から学ぶ自信のない子どもが自信をつける方法:バンデューラの自己効力感

『自信さえあればもっと挑戦できるのに』

『どのようにしたら子どもに自信を身につけさせるのか』

これらは子どもを持っている親や日頃から子どもと接する先生やコーチを日々悩ませる大きな課題ではないでしょうか。

今回のブログでは自信をつける方法を心理学の観点から紐解きながら紹介していきます。

自信とは?自信の根底にある自己効力感

自信をつけることで色々なことに挑戦ができたり、より活発的になりたいと思っている方も多いのではないでしょうか。

自信の根底には『自分にはできる!』という強い思いがあります。

心理学・社会学・教育学に大きな影響を与えたスタンフォード大学の心理学者アルバート・バンデューラの自己効力感、『自分にはできる!』という考え方の身につけ方を中心に自信を高める方法を紹介していきます。

 

自信をつける、自己効力感を高める4つの要因:バンデューラの理論

カナダ人心理学者のアルバート・バンデューラ氏が提唱している自己効力感(self-efficacy)とは、『自分は成功できる』、『目標を達成できる』という自分に対しての期待感です。

物事を達成できるという将来の自分への期待感、すなわち自信が高い人は自己効力感が高い人です。

新しいことに挑戦する中で、

『僕にはできる!』と思って取り組んでいる人と『どうせ僕にはできない』と取り組む人では結果が大きく変わってしまう可能性があります。例えば、「僕にはできる」という思いを根底に持っている人は将来の自分に期待を持っているため、失敗しても「いつかは自分にもできる」という挑戦し続ける方向に思考を持っていける可能性があります。

一方で『どうせ僕にはできない』と考えている人は失敗した際に自分の仮説が証明されていると考え、『やっぱり自分にはできなかった』と元々持っていたダメな自分という思い込みがさらに強まってしまう可能性があります。

その状況が続いてしまうと『どうせ僕にはできない』という思い込みに更にとらわれてしまい、挑戦すること自体から遠ざかってしまいます。それが続いてしまうと自らの成長の機会も失ってしまいます。(成長し続けるグロースマインドセットに興味がある方はこちら)

心理学から学ぶ自信のない子どもが自信をつける方法:バンデューラの自己効力感
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では、自己効力感はどのような要因によって作られているのか。

新たな挑戦にも前向きに取り組む自己効力感を生み出すために重要な要因としてバンデューラ氏は下記の4点を挙げています。

  1. 成功体験
  2. 代理体験
  3. 言語的説得
  4. 生理的要因

上記の4点を詳しく下記で紹介していきます。

1. 成功体験:自分が乗り越えたという達成感

成功体験とは、自分自身が目標や挑戦したことに対して達成したり、成功した経験を指しています。小さなことでも成功体験となり、それを積み重ねることで自己効力感を高めることができます。

例えば、苦手科目のテストで自分の点数を上げること、部活で100M走のタイムを縮めること、学校生活の中で一日一回は手を挙げて発言すること、みんなの前で発表することなど様々な挑戦によって身近な成功体験の機会がたくさんあります。

子どもの成功体験を増やすためには、様々なことに挑戦する機会を与えることも大切ですが、その中でも適切な目標設定を行うことが重要です。

例えば、赤点を取り続けている苦手な科目で急に来月の期末テストで100点を取る、または部活のサッカー部でスタメン選手ではないのにシーズンの目標が毎試合得点をすることなどは素晴らしい挑戦ではありますが、達成することは非常に難しいことが想定されます。

不適切な目標を繰り返し設定してしまうと、目標を達成することができない経験を繰り返してしまい、自己効力感を下げてしまいます。

大きな目標を掲げるべきではないという訳ではありませんが、大きな目標を逆算して適切な期間とそれに繋がるための段階的な目標を作ることが重要です。それによって大きな目標に向けて、成功体験を積み重ねていくことができます。

苦手な科目に対してはまずは来月のテストでは赤点にならないことを目標として、次は75点を目指して、最終的に100点を目指す道筋を作る。

より達成しやすい適切な目標を多く体験し、成功体験を作っていくのが効果的です。

 

2. 代理経験:自分以外の人が成功したことを観察

代理体験とは、自分以外の人が目標を達成したり、成功していることを観察することです。

講演会で成功した人の話を聞いたり、ドキュメンタリー等で他の人の成功ストーリーを目の当たりにした時に『自分にもできる!』とモチベーションが上がった経験はないでしょうか。

自分の成功体験だけではなく、他者の成功体験からも人は自己効力感を高めることが可能です。

特に自分の境遇や状況に近い人が成功を手にしている事例に触れることがより効果的だと言われています。

自分のクラスメートが以前よりテストで点数を取れるようになっている。前まで部活で目立っていなかった同期ができなかった技ができるようになっている。またはもう少し期間を長くして見ると自分と同じ小学校に通っていたOB・OGがその後努力を重ねてプロスポーツ選手として活躍している。または、同じ小中高に通った人が今は海外の大学で活躍しているなど自分が叶えたいと思っている目標を達成している人の事例に触れる(その場を見たり・聞いたり、話を直接聞いたり、記事・本を読んだり、話を見聞きする)ことが大切です。

代理体験の機会を増やすためには、子どもが持っている目標や課題を理解した上で、その目標を達成した人やその課題を乗り越えた人の事例に触れる機会を作ることで自信を高められます。または周りの人たちがどのようにして成長しているかに気づかせるのも一つの手です。クラスメートや友人のことを例にあげたり、または保護者であれば保護者自身がどのようなことに挑戦して、どのような壁を乗り越えながら成長をしているのかを見せることもとても効果的です。

3. 言語的説得:自信をつける効果的な声かけ

言語的説得とは、他者から『自分はできる』と応援してもらうことです。

自信がない方が使用する言葉に注目すると自分に対してももちろんですが、状況や環境に対してもネガティブな言葉多く見られます。『私には絶対無理』、『才能がないからダメ』などと自分に言い聞かせ続けてしまうと自己効力感を下げてしまいます。

またネガティブな発言をする方が多い環境にい続けてしまうと自分の思考も同じようにネガティブになってしまう可能性があります。

友人や家族、先生などから努力を重ねることで『自分なら達成する力がある』と励ましの言葉を受けることで自己効力感は高められます。

ただ、やみくもに励ましたり、応援するのではなく成功体験のセクションでも話しましたが、適切な目標設定を行なった上で応援することでより説得力のある声かけに繋がります。

4. 生理的要因:身体的、心理的の状況の影響

生理的要因とは、その人の身体的・心理的な状況が自己効力感に影響していることを示しています。ストレスが多い日々から体調を崩して、精神的にも気分が落ち込んでしまっている状況では自己効力感を高く維持するのは難しくなります。

自信を高めるためにはまずは身体的、心理的にも安定している状況を作ることが大切になります。

具体的な方法としては体の管理を行うこと。例えば適切な睡眠をとること、バランスの良い食事を取ること、適切な運動を続けることなどがあげられます。

または精神的なバランスやストレスにも対応するためにマインドフルネスなどを日常に取り入れて自分の身体的、心理的状況をより深く理解した上で行動をすることも効果的です。

心理学から学ぶ自信のない子どもが自信をつける方法:バンデューラの自己効力感
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まとめ:子どもの自信と自己効力感を高める方法!

今回のブログではアルバート・バンデューラ氏が提唱している自己効力感の要因を紐解きながら自信の高め方を見てきました。

子どもの自己効力感を高めるためには下記が効果的です。

・適切な目標を一緒に作り、成功体験を多く体験できる環境を作る

・同じような状況・環境の人物が成功している事例に触れさせる

・目標を達成するための能力を備えていることを伝えてあげる

・身体的・心理的な状態を安定させる

これらを活用して子どもの自己効力感を高める行動を試みてください。