人前で話す緊張や不安を乗り越える具体的な方法:

みなさんは人前で話す際に緊張することはありますか?

「練習したことを忘れてしまったらどうしよう?」

「みんなの前で恥をかいてしまったら格好悪いな」

どうしてもこのような不安が発表前に頭をよぎってしまうかもしれません。今回の記事では人前で話す際の緊張をどのようにしたら乗り越えられるのかを研究を紹介しながら紐解いていきます。

人がスピーカーマイクで話す, ワクワク, 不安を乗り越える

「人前で話すこと」に対して多くの人が緊張や恐れを感じている

多くの人が人前で喋ることに大きな不安と恐れを抱いています。ギャロップ社が2001年に米国で行った調査では40%の人が人前で喋ることを恐れていると答え、調査内で最も恐れられている項目の第2位となりました。

人前で喋ることは多くの方が経験したことある緊張の場面ですが、登壇の前に「落ち着こう」と自分に言い聞かせたことがある方も多いのではないでしょうか。

実はこの行動があなたから最高のパフォーマンスの機会を奪っているかもしれません。

人前で話す時の「落ち着こう」は逆効果!?パフォーマンスをあげる方法

人前で話す際の緊張とパフォーマンスに関して、ハーバードビジネススクールのアリソン・ウッド・ブルックス氏が行った興味深い研究があります。

彼女の研究では、140人の被験者に短い発表(最短2分〜最長3分)をしてもらいました。被験者を3つのグループに分け、それぞれに発表前に自分に言い聞かせる言葉を渡しました。

一つ目のグループには「私は落ちついている」

二つ目のグループには「私は興奮している」

三つめのグループは何も言わずに発表をしてもらいました。

発表内容をビデオで録音し、後日複数の人たちに評価してもらったところ、「自信」や「説得力」において「私は興奮している」と言い聞かせたグループが他のグループよりも圧倒的に高い評価を獲得していました。「自信」の項目では平均15%高く、「説得力」では平均17%も高い評価を得ていました。

大勢の前で喋るような重要な場面で緊張してしまうのは自然は反応です。

しかし、その緊張した状態に対して取れる行動は一つとは限りません。

ウッド・ブルックス氏の研究により、声の強張りやいつもより早い鼓動等の体が感じている「緊張」を無理やり落ち着かせようとするのか、またはそれらの症状を自分が興奮していると捉えるかによってパフォーマンスが大きく異なることが見受けられます。

緊張を無理やり落ち着かせようとすることよりも「僕はこんなにもワクワクしているんだ!」と体の症状を興奮として受け入れることでよりポジティブに発表に挑むことができ、周りにもその熱意が伝わります。

人前で話す不安や緊張を乗り越える具体的な方法:5500万回以上再生されたパワーポーズの研究

皆さんは緊張している時は体はどのような状況になりますか?

背中を丸めて少し猫背のような形になったり、足や腕を組んでいたりしませんか?全体的に緊張をしている人は自分の体を小さくする傾向が見受けられます。

また、自信に溢れている状況や相手に自分の力を示す時に出てくる姿勢はどのような姿勢になると思いますか?人は自信がある時には上記の逆で腕を大きく広げたり、背中を伸ばして大きく見せたり、自分の体を大きく見せる行為が見られます。

私たちは相手の表情や姿勢などの非言語行動から相手の心境や状況など様々な情報を汲み取っています。ただ他者の姿勢から他者の状況を汲み取っているだけではなく、自分自身の姿勢によって自分自身の捉え方にも変化が起こりうると発表したのが社会学者のエイミー ・カディ氏です。

彼女の研究ではたったの2分間自分の体を大きく見せるパワーポーズを行うことによって、テストステロンやコルチゾール等の体内のホルモンに差が出てくることを発表しました。姿勢を変えることで体内に影響を及ぼし、自分自身の捉え方や心に影響が広がり、行動につながるという話をTED TALKでカディ氏は話しています。(カディ氏のTed Talkは2020年2月時点で歴代2位の5500万回以上の再生回数を誇っています)

自信がないと思っている時こそ、背中を伸ばして、腕を大きく広げて仁王立ちするようなパワーポーズを2分間とるだけでより自分の行動に自信を持って物事に取り組める可能性があります。面接の前、大勢の人の前で発表する際には準備として個室でパワーポーズをとることを試してみてください。

カディ氏の研究は発表後に批判も受けており、より正確な研究が必要とされていますが多くの方が共感しており、実践に移している方もたくさんいらっしゃいます。ぜひ気になる方はカディ氏のTed Talkをご覧ください。(Your body language may shape who you are)より詳しい方は彼女が書いている本もありますので確認してみてください(〈パワーポーズ〉が最高の自分を創る)。

皆さんもぜひ次回人前で話す際に「緊張」を感じたら落ちつかせるのではなく、「こんなにもワクワクしているんだ!楽しいことが起きそうだ」と自分に言い聞かせてみたり、パワーポーズを2分間行った上で物事に挑んでみてください。

 

[参考資料]